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余暇

森からこぼれる果実は何だ 

歩いてきた風が 朝霧にとける 

琥珀のかけら 

くだけた矢じり 

尽きぬおしゃべり 気球に乗って 

ふらふらよろめき 雲にぼよん 

南洋探査船

地平線がぐにゃりとまがる

それは海のはたらきが 片目をつぶったのだった...

レンズと爆竹

私は眼鏡をかけている

いつだって凸面硝子と窓枠だ

私は眼鏡をかけている

景色はぴかぴか嘘くさく

矯正を重ねてもますますぼやける...

何だかわかんない

わたしたちが生まれたところ

今宵はなぜだか琥珀色のあくび

涙目の向こうに蜃気楼

ゆらりとのびる捻じれた影は

一本の老いた巨樹であった…

モスキート

虫が飛んでいる

羽音が不意にたずねた

 

ヨハンセンは「交響曲の5番だ」と、言った

無智が、おもむろにテーブルを支配した

珈琲だけが真面目だった

それでも何食わぬ顔で生きていけるのだ…

誰誰誰

人間のようなひとがいました

人間のようなひと

「ような」がつけば不確かだ

不確かではあるが生きているので何らかの生物だ…

ふんどし

私はいま、ふわんふわんとゆれる風船の上にいる。

到底取り戻せないほど涙にぬれた赤い空と

途方もなく無味乾燥なコンクリートスラブの街並みと

この世のあらゆる真っ当をさえぎるために建てられたおんぼろテントの下

町のハヅレの...