南洋探査船
地平線がぐにゃりとまがる
それは海のはたらきが 片目をつぶったのだった
あっちは潮のにおいはしませんでした
あかくて ペンキ缶がひしゃげたような
何ともかしこまった土地でした
そうか そうか ごくろうさん
と、所長は口ひげをざりざりやりながら言いました
しかしなんだ
母なる海のまんなかに あんなばかみたいな大穴をあけて
仕事帰りのお月さんが 間違えて落っこちちゃうだろう
はい ひとまずのところ
木っ端に釘を打ってふさいでおきました
数日ならもつでしょう
よろしい それでは港湾に連絡
貴殿らとの だるまさんがころんだはやめにすると伝えろ
海上の異状はなし
- Tags: 詩
0 コメント