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前の前の前

前の前の前
赤く錆びたような荒れ地に天衣が触れる
コスモの端っこは森閑と
二つの月が砂塵にもだえる
ならずものたちの石像が
一脚の安楽椅子を見つめている
 
それだ
そいつだ
三頭の番犬がワウワウ吠える
座面に立つ甲冑をつけたカブトブシ
 
ラクダの前の
ちりとりの前の
ルビーの前の
ハゲタカの前の
私だ
ここにいる
すべてが私であって
切り取られたあとの点線を
ぽっかりと星に飲まれた空間が
幸福な地面に未練を残しながら
遠くで呼吸している

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